スペイン風邪の記憶
富山市の出版社「桂書房」から発行されている書籍です。著者は僧侶の栗三直隆。
百年前の史上初のパンデミックであるスペイン風邪が富山県内でどのような被害をもたらしたか、当時の新聞記事を引用して詳しく執筆しています。
日本に上陸したスペイン風邪は富山県内にも列車で入り込み、駅員、学校教員、生徒、警察官、陸軍将兵に感染し多数の死者が出たほか、軍医も感染して死亡したことが伝えられています。
また、マスクの値段が急騰し、高等女学校では授業の一環としてマスクの制作を行ったほか、死者が多く出たため郵便局の簡易保険の申込みが相次いだと書かれています。
スペイン風邪について書かれた雑誌として「学研」の「歴史群像No.99」の「スペイン風邪」。2010年1月6日発売。著者は時実雅信。スペイン風邪の発祥はアメリカ合衆国と断定した上で、スペイン風邪のウイルスに感染した若者が第一次世界大戦参戦によって徴兵され、兵舎で他の兵士に感染させ、ヨーロッパに赴き、ここで流行したということです。アメリカ合衆国国内では野戦病院が設けられ、軍事国債募集のために行った軍事パレードで一般市民にも感染が広がり、さらに医師や看護婦まで感染し、医療崩壊が起きたことが記されています。
第一次世界大戦の死者より多かったスペイン風邪はその後、世界史の教科書も簡単の記述になり、記憶から忘れ去られてしまいますが(武者小路実篤の「愛と死」には恋人がスペイン風邪によって亡くなった描写はある)、新型コロナウイルスの流行により再び脚光を浴びるようになりました。
この新型コロナウイルスの流行もあと何年かしたら忘れ去られてしまうのでしょうか?